だからこそ、今後取る政策の影響は大きい。
前提として、安倍首相は就任期間を長く保ち、外国の信認をさらに高めてほしい。そのためにも、高い支持率を落とすようなことをするのは良くない。

そのうえで、世界の投資家との対話を重ねるべきだ。外国に行ったり、日本で大きな会議を開いたりして、日本は投資に値する国であることをもっと訴えるべきだ。実際に日本は生産技術も高く、製品の質は高い。新興国にはないビジネス上の誠実さも誇り、教育水準も高い。

外国企業のトップと会う政治指導者は世界でも多いが、投資家とはあまり会わない。幸い安倍首相は、これまでも投資家の声に耳を傾けてきた。私も昨年会う機会があった。我々のような買収ファンドが経済に果たす役割についても理解してくれた。

ビジネスリーダーとも多くの時間を共にしてほしい。日本企業のトップには、収益を生まない資産を売却するよう説得すべきだ。もっと外国で生産して販売するようにも促してほしい。日本の事業環境は魅力的だが、少子高齢化が進み、移民もないので人口減少が進むという現実もある。

日本には起業家精神がもっとあるべきだ。ベンチャー企業に投資する機会を探ったこともあるが、見つからなかった。私は弁護士時代、ソニーを創業した盛田昭夫氏と仕事をした。根回しをするのではなく、他の人と意見が違うことを恐れない彼のような人物は素晴らしい。

米国には、やや妙なことをする人も褒める文化がある。若者も大企業に就職するより起業を好む。日本政府も学校を出た若者に、もっと起業を促すことができるはずだ。日本企業ももっと、中国やインドの企業のように（起業家の街である）米シリコンバレーに拠点をつくり、風土を吸収したらどうだろう。（談）
以下略
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO72104030R30C14A5TCR000/