このように、時間も活力も経済力も備えたシニア層が増えたことで、彼らの旺盛な消費意欲を見込んだ製品の開発も花盛りだ。その一例として、国内の大手家電メーカーが次々に投入している、シニア仕様の新製品のケースが挙げられる。

東芝ライフスタイルは、指で軽く押すだけで、扉がワンタッチで開く冷蔵庫「ベジータ」（税別価格：14万円前後）を発売。腕の力が衰えつつあるシニアたちの支持を集めた。また、シャープが今年春に発売した茶の抽出機「ヘルシオお茶プレッソ」（2万円前後）は、本格的な緑茶が楽しめると好評を得て、増産体制が続いている。

さらに大ヒットにつながったのが、日立アプライアンスのＩＨ炊飯器「打込鉄釜 おひつ御膳」（6万円前後）だ。

ポイントは、2合以下の少量が美味しく炊けること。蓄熱性のある内釜「重厚打込鉄釜」を、断熱材などで囲う構造にすることで高温を保ち、しっかり蒸らして炊き上げることがその秘密である。

内ふたや蒸気口が丸洗いできるなど、使いやすさにも工夫を凝らしている。また「本体分離構造」を持ち、おひつ部分だけを食卓に持ち運べる手軽さが画期的であり、注目を集めた。家族がアツアツのごはんを食卓で
よそいながら楽しめるシーンを創出し、炊き立てごはんの魅力を改めて発信したと言えるのではないだろうか。

同社が少量に特化したのは、調査を行った結果、半数以上の世帯において一回あたりの炊飯量が2合以下であり、少量炊飯を重視していることがわかったから。しかも世帯人数や世代にかかわらず、ファミリー層でも少量炊飯へのニーズが高いことが判明した。そこで同社では、少量が美味しく炊ける炊飯器の開発に着手するに至る。

「本製品のこだわりは、『持ち運べる2合炊きの炊飯器』という新たなコンセプト。ごはんを美味しく炊くだけでなく、軽くて持ち運べるというハードルをクリアする必要がありました。そこで他社のＩＨ炊飯器にはないものを作るべく、当社独自の新構造や新技術で課題を解決したのです」（日立アプライアンス商品計画本部 キッチン商品企画部諸田百合子氏）

その技術のひとつが、内釜を真空断熱材などで囲う「全周断熱構造」の採用だ。ごはんの温度低下を抑え、おひつ部を分離させて食卓に運んでも、2時間ほどはアツアツの70℃程度を保つことができる。

「普段は2合以下の少量しか炊かないというお客様をはじめ、世帯や世代に関わらず、少量を美味しく炊いて、食卓でアツアツのごはんを食べたいタイミングでよそって楽しむ。そんな魅力を、これからもどんどん提案していきたいですね」（諸田氏）

このようにライフスタイルが多様化し、市場が成熟している今だからこそ、「おひつ御膳」をはじめとする各種商品のような、付加価値が高く、機能的かつスタイリッシュなアイテムが支持されるのではないか。いずれも、キーワードは「小さくて、軽くて、少し贅沢」ということ。消費者のニーズは多様化・細分化するばかりだが、メーカー各社の卓越した技術力が、個々の消費者の生活をより豊かに彩っているように見えて、今後も楽しみである。

ソース（ダイヤモンド・オンライン、田島 薫氏／5時から作家塾(R)）
http://diamond.jp/articles/-/63972

やっぱ火なんだよなぁ。電磁波はなんかあるよ、たぶん。