ヘッジファンドがニコンやカシオ計算機など日本のテクノロジー企業の空売りを膨らませた。次の大ヒット製品が見当たらないことが先安観につながっている。

ブルームバーグのデータによれば、空売りが多い日本株10銘柄のうち８銘柄がテクノロジー株だ。ヘッジファンドなどによる日本株空売りの残高は1971億円に上っている。中でも最も空売りされているのはニコン。日本取引所グループへの届け出によれば、日本のテクノロジー株を空売りしているヘッジファンドはオックスフォード・アセット・マネジメントやビンバ・インベストメント・マネジメント、スタッツインベストメントマネジメントなど。

ソニーのプレイステーション発売から20年余り、米アップルのｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）がスマートフォン時代の扉を開いてから約10年。空売りの多さは日本のテクノロジー企業が次の大ヒットを生む能力への悲観的な見方を反映している。ロボット工学や仮想現実（バーチャルリアリティ）、いわゆる「モノのインターネット（家電製品や機械、その他あらゆるモノがインターネットにつながり制御される技術）」などは有望だが、現時点ではスマートフォンの潜在力に全く及ばないと、ＣＬＳＡアジアパシフィック・マーケッツでテクノロジー調査を担当する地域責任者のニコラス・バラット氏は話す。

「今後２年の間にセクター全体に大幅な収入増加をもたらすことができるような製品は、実際のところ見当たらない」と同氏は述べた。空売りの多いテクノロジー銘柄へのショートポジションの総額は、時価総額ベースで膨らみつつある。ブルームバーグのデータによれば、７－９日の間に142億円（7.8％）増えた。ニコンは９日時点で発行済み株式の16％が空売りされており、比率でみてトップの空売り対象。この比率はカシオは7.5％で５位。

台湾の鴻海精密工業による正式な買収契約調印を待つシャープは6.7％。オックスフォードとビンバ、スタッツは空売りポジションについてコメントを控えた。ニコンとカシオ、シャープの広報担当者もコメントを避けた。もっとも、空売り筋の見込みが常に当たるわけではない。ニコン株は年初から7.8％上昇した。一方、カシオは23％安。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3S69R6VDKHT01.html