「総人口の10%が餓死」180年前のイギリス穀物法の悲劇から学ぶTPP後の日本の戦略。
http://diamond.jp/articles/-/44861
TPPによる貿易自由化には、「日本の農業が打撃を受ける」という反対意見があります。しかし、輸出大国である日本にとって、TPPは避けては通れない問題です。
■世界史というレンズを通せば、経済のことがもっとわかる!
本連載は、「世界史というレンズを通して、経済をより深く理解する」というアプローチをとっています。
経済(お金)に関する事柄は、ある日突然生まれたものではなく、歴史的な必然性を持って生まれます。ゆえに、その必然性を知ることができれば、経済をさらに理解することができるわけです。本連載では、「増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌」といったトピックスを扱っていきますが、第1回目の本日は、TPPです。
TPPによる貿易自由化には、「日本の農業が打撃を受ける」という反対意見があります。輸出だけ自由貿易にして、輸入は保護貿易にできればいいのですが、そういうわけにはいきません。貿易というのは相手国があるからです。こちらが関税を引き上げて輸入を制限すれば、相手国も関税を引き上げて輸入を制限します。
輸出を自由化したいのなら、輸入も自由化しなければなりません。しかし、輸入自由化は国内の弱い産業に打撃を与えるので、国内で深刻な対立を引き起こすのです。19世紀のイギリスでも同じことが起こっていました。
■工業国イギリスの悩みは、フランス産の安い穀物
イギリスは農業が弱い国です。寒冷で土地がやせているので、仕方ありません。イギリス料理の貧弱さは、フランス料理の豊かさに対比され、ジョークのネタになるくらいです。イギリスの地主階級にとって、ナポレオン戦争は天の恵みでした。
ナポレオンの大陸封鎖令によって、安くておいしいフランス産の穀物が入ってこなくなったからです。イギリス産穀物の価格はじりじりと高騰を続け、地主は大きな利益を得ました。
しかし、ナポレオンは敗北しました。大陸封鎖令が解除されれば、穀物価格は一気に暴落するでしょう。このことを恐れた地主階級は、議会に働きかけて穀物法を制定させます。穀物価格が一定水準を下回ったときには、穀物輸入を制限するという法律です。自国の農業を守るため、非常に都合のいい法律を作ったわけです。
綿工業の中心都市マンチェスターで織物工場を経営していたコブデンは、この動きに反対します。同業者に呼び掛けて反穀物法同盟という圧力団体を結成しました。
(>>2以降に続く)
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■国の都合で法律を変えたら、総人口の10%が餓死することに!
彼らは大規模な集会、新聞広告で穀物法の危険性を訴え、労働者からも支持を得ました。しかし、地主の利益代表である保守党政権は、穀物法撤廃には頑として応じません。
イギリスに併合されていた隣国のアイルランドでは、イギリス人地主が土地を独占し、アイルランド人の小作人が極貧生活を強いられていました。穀物法のせいで、外国の安くておいしい穀物が入ってこなくなったからです。パンを買うゆとりさえなく、ジャガイモが彼らの主食でした。
1840年代に、ジャガイモの伝染病がアイルランドを襲います。パンは買えず、ジャガイモは全滅し、アイルランド人の10%が餓死に追いやられます。これをジャガイモ飢饉といいます。
生き残った人々の半分が、経済難民としてアメリカ合衆国へ渡りました。このとき渡米した難民の子孫が、ニューヨークのアイルランド人街を作ります。かのジョン・F・ケネディ大統領の曾祖父もこのときのアイルランド移民でした。アイルランドの惨状を見て、頑迷な保守党政権もついに政策を転換します。ピール内閣が穀物法廃止を決定したのです。
穀物輸入は自由化されましたが、イギリスの農業は地主が恐れたほどの打撃は受けませんでした。なぜでしょうか。
■「貿易自由化」という荒波を乗り切る方法
穀物が高騰したナポレオン戦争中から、農業革命と呼ばれる構造改革が進んでいたからです。その内容は、「政府公認の囲い込みによる農家の経営規模の拡大」と、「穀物生産に牧畜を組み合わせた四輪作法」という新しい農法の普及です。
21世紀はじめの日本でも、TPP参加の是非をめぐる対立が続いてきました。
輸出拡大のため貿易自由化が避けられないのなら、競争に耐えうるように国内産業を強化すべきです。日本の農産物は価格競争力では外国産に負けていますが、味と品質、安全性では優れています。
中国のスーパーでは「食の安全」を求める富裕層が、割高な日本の農産物を競って買い求めています。農家の自助努力を妨げる一律の補助金ではなく、優れた商品を生み出す生産者への支援金や、経営規模の拡大を目指すべきです。
(終わり)
> 輸出拡大のため貿易自由化が避けられないのなら、競争に耐えうるように国内産業を強化すべきです。日本の農産物は価格競争力
では外国産に負けていますが、味と品質、安全性では優れています。
ほんっとにこの通りだ
2chねらに負けずに日本政府にはがんばってもらいたい
してもアメリカが利益を持っていくよ
農業は自営しないと儲からない
しかし新規参入は金がかかり過ぎる
若者が起業するにはハードルが高い
土地も機械もレンタルリースでやればイニシャルコストは押さえられるが
実現しないよね
レンタルは安いかというと、結局機械を使う時期が同じなのでそれ程安くならない。
コントラ委託の方が安上がりだったりするが、それが就農なのかというと微妙なところ。
食料の足らない分は当然輸入しよう
余ってるなら制限
各国お互いにいらないものを無理やり解放させるのはやめよう
必要なければマーケtットメカニズムにより輸入は起きない。
輸入されるということは必要があるということだ。
日本から輸出してるものって
日本以外からは買えないものが多いからTPP加盟しなくても
日本から買う以外に選択肢はないと思うわ
日本でしか作れないものなんかまずないぜ。
財なんかほとんど代替可能だから。
必要は発明の母。
日本からしか買えないとなりゃ、何とかしたくなる連中が頑張るのが世の常。
わざわざライバルを育てるインセンティブを与えることない。
中国がレアメタルでやった失敗を真似するこたない。
放送や通信を海外の企業にも開放して安くできるかどうかみたいな読み方を
した方がいいんじゃないか。エンゲル係数ってそこまで高くない気がすんだけど。
日本のエンゲル係数は先進国では高いよ。
食へのこだわりがある分を差し引いても先進国としては高い。
食費の高さ、負担の重さは日本国民がGDPの大きさほど豊かさを感じられない要因の一つだよ。
それは食費ではなく電気だ。
電気さえ値下げすればいい
日本のエンゲル係数は先進国で一番高い。
一人当たりgdpが一番低くて、基礎食品が世界一高いからね。
食費より公共料金が負担。
インフラとか住居費。
技術革新しようが現在の農業はほぼ耕作地の面積で勝負が決まる。
相手は東京並みの耕作地を持ってるんだから勝負にならん。
あとアイルランド人が餓死したのは法律のせいじゃなくて天候不順のせい。
主食のジャガイモの供給を国内に依存し、小麦などの穀物の輸入を制限してたから、餓死しまくったんだな。
備蓄と供給先の多角化、関税撤廃による購買力向上が食糧安全保障を実現する。
江戸時代でも飢饉があったのは農業地帯ばかり。
なぜなら日頃は自給していたために、
天候不順で不作になった際などの調達ルートとカネがなかったから。
対照的に農業のない江戸だけが飢饉がなかったのは、
食料調達先が多様化していたから。
もちろん、他から食料を買う資力があったから。
これは1950年代のアメリカでも、
貧しい農村(自給生活だった)で飢餓が起きたことで証明されている。
つまり重要なのは食料調達の多様化、
そして購買力を保持するためのカネを稼げる産業の育成、
それと外国から買うための外貨。
ちなみに外貨は日本は腐るほどあるので心配は無用。
(むしろ貿易黒字で貯まり過ぎたから円高になって苦しんでいた)
天保の飢饉だっけか。
アイスランドの火山の大噴火・インドネシアの大噴火・浅間さんの噴火とあわせて、
地球慣例化を導き、凶作を導いたのは。
>重要なのは食料調達の多様化
同意。多様化を行う上で低コストで簡単なのは貿易。
よって食料確保で低コストで簡単なのは貿易。
国内で多様化するにはコメ食文化の抹殺が必要だが、
食料自給率を取り上げる者達はそれすら否定するからね。
自給自足してた頃は雑穀や麦飯で、コメなんて伝統食ではなかった。
ジャガイモに病気がはやって、備蓄が溶け崩れてしまったことと、
囲い込み運動の結果、農地が高収益の牧場にとられてしまったこと。
むしろ、そうして多くの国民が生活手段失った結果、
社会の安定がくずれ、ユダヤが跋扈、モラルも崩壊した。
肝心の稲作も肥料や農薬は輸入依存
こんなもん守ってどうすんの?
近代社会では食料だけではなく、石油が断絶されたらアウトだろ。
「日本は石油やガスは好きなだけ輸入できるけど食料だけ断絶される」ーそんな事態って想定できるか?
食糧安保論者の矛盾はここだよ。
ちなみに農業に不可欠な必須肥料のリンもほぼ輸入品だ。
もちろん原油が輸入できなければトラクターも温室も稼働しないし、
ビニールなど農業資材も作れない。市場まで運ぶトラックも動かない。電力も足りない。
常に世界と交易していることが前提の日本の近代社会なのに、
「食糧だけが輸入できない」なんて事態だけを想定するほうが手前勝手な前提だろう。
だから結論としては食糧、エネルギーが安定調達できるよう、
外交努力、外貨の獲得、それらを担う人材教育など、総合的に国力を高めるべきなんだよ。
TPPが国力強化の手段になるかどうかは賛否が分かれるけど、
原状の日本の農業保護政策が食糧安保にならないのは確実。
農家にカネを渡すことが食糧の安定供給になるのはウソだというこだけは覚えておいてほしい。
仮に食糧安保を持ち出すなら、減反は矛盾。
原状でも食糧の40%も廃棄しているムダをなくすことから着手すべき。
もちろん平時と有事は分けて考える必要があるが
貿易がすべて断たれる事態になったとしても国民が餓死しないように考えるのが国の義務
その時は石油備蓄は優先的に食料生産に回されることが決まってるし肥料も国家備蓄してある
いざとなれば熱量ベースで完全自給できるだけの基礎農業力は維持しつづけるべき
今後人口が増加して世界的に水が不足するのと同様に食糧も不足する事になる。
産業ってのは急には起こせないもの。
日本も将来的には一次産品作る事になるはずなんで
それまで農業と言う産業を続けていく必要がある。
食糧は金出せば買えるってものではなくなるし、
日本もいつまでも金持ちって事はない。
短期的に考えすぎてるんじゃない?
食糧だけが輸入出来ないなんてものを想定してるやつはいないだろ。
> 外交努力、外貨の獲得、それらを担う人材教育など、総合的に国力を高めるべきなんだよ。
外交努力すれば戦争なんか起きないから自衛隊なんか不要だとの主張と同じじゃん。
これだって万全だとは言えないから
同時に石油だって食糧だって備蓄すべきだろ?
同じ様に食糧もエネルギーも最低限自前で作れる方が良いに決まっている。
何で不要って話になるんだ?
仮に農業を切り捨てたとして何で外貨を稼げと言ってる?
それは原料を輸入する事もなく出来るのか?
さもなくば農業だけは原料を輸入してるから無意味って事なのか?
農業を切り捨てろと主張する意味は
TPPを推進したいの?
日本の農業を止めさせたいの?
農業に補助金が与えられるのが気に食わないの?
何なんだろ。
いくら馬鹿でも言わない。
水がないと死ぬって本能でわかるから。
でも食い物だと海外に平気で依存するw
金の魔力に夢中の馬鹿ほど滑稽な生物はいないねw
輸入小麦とかの備蓄は、自給率は下げるが食べられるので非常時の供給を約束する。
日本の百姓は非常時に供給するための備蓄なんてしてないから、非常時の供給は無理。
アイルランド史は、この前と後でまったく変わってくるという
ブリテン人は特定人種の半分を奴隷労働で虐殺し、現在でも土地を奪い続けてる
世界で最も野蛮な民族の1つだということを忘れてはいかんね
タイ人が食糧難になった
最低限の自給が先進国の義務
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コメント
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コメント (11)
自給率が高い=非常時にも餓死しない、っていう勘違いからまずは脱却しなきゃいけないな
※1
供給元は複数確保すべき、農業は保護じゃなくて競争力つけろって話じゃないの?
よそのもの締め出してなけりゃ自給率が高い方が餓死しにくいでしょ。
そもそも人々が介護業をやりすぎるから人件費が暴落して
あの業界が悲惨なことになってる
農業も参入してくるひとがすくなければ既存の業者が
高い生産価格を謳歌し、人生楽をする
とりあえずTPP参加したら農家はほとんど壊滅するよ。生き残るのは一部の大農家だけだと思う。俺はこれを良いとするのは異常だと思うけど、TPPは農業だけの問題じゃない。
中野剛志 TPP 日本終了 ど~にも なりません。。。
ttp://www.youtube.com/watch?v=3theHajCpVw
石油輸出しないと脅されただけで戦争になるのに
食料入手できないなんてなったら戦争せずに降伏するしかないじゃない
そんな状態でどうやって中国と交渉するんだよ
海上封鎖するって「脅される」だけで大幅な譲歩を強いられる
食料自給率が本当に役に立つかどうかは別にして
いざという時に国民が動揺しない備えとしてある程度の自給率は必要だと思う
>7その国に足りないものを輸入するのが貿易の基本
貿易論になると莫迦が露見するな
とりあえずリカード嫁
コピペ忘れた。上コメに以下を追加
> 輸出拡大のため貿易自由化が避けられないのなら、競争に耐えうるように国内産業を強化すべきです。
農業強くするとか言ってるが産地偽装に甘いこと考えればコネもった農家以外はつぶれるんじゃないかな?
今現在にやれることもやってる気配がないこと考えれば特に妙案があるわけではないんだろう。
※7
>構わねえけど、若者が農業しない問題はどうするんだい?
まさにこれ
農業従事者の平均年齢は今66歳
TPP入らなかろうがあと10年もしないうちに自然に壊滅する
自給率は経済じゃなくて国防の視点から見るべきでは
※9
久しぶりにまともなTPP論聞いて、ビックリした。
>農業従事者の平均年齢は今66歳
> TPP入らなかろうがあと10年もしないうちに自然に壊滅する
ホントこれ。そもそも論として、TPPの農業への影響を気にする人に「じゃあ、どうやれば今斜陽の米農家を建て直せるの?と聞くと、前向きな答えがでてきたためしが無い。
※10
>自給率は経済じゃなくて国防の視点から見るべきでは
間違い。なんか、よほど不思議な事態を想定しているみたいだけど、日本の農業は高エネルギー投下型で、外国からの輸入工程が生産力に直結しているので、自給率が問題になるような自体(例えば輸入停止)に追い込まれたら壊滅する。現代では貿易経路維持を絶対のものとしてやっていくしかない。それほど食料が重要なのであれば、エネルギーは食料生産と配布工程に不可欠なので、もっと保護されるべき。でも、エネルギー自給しようなんて誰もいいださない。そのレベルの誤解。