大正製薬ホールディングスが16日発表した2016年３月期の連結決算は、営業利益が前の期と比べ9.7％減の288億円だった。医薬事業の減収のほか、売上高の約２割を占める栄養ドリンク剤「リポビタン」シリーズの不振が響いた。

元気になるイメージがある清涼飲料水であるエナジードリンクの人気上昇などで、国内の栄養ドリンク剤市場は縮小が続いている。大正製薬ＨＤも15年にエナジードリンクを投入したが、リポビタンの落ち込みを補えなかった。

売上高は0.1％減と横ばいの2901億円だった。医薬事業は、感染症治療薬「クラリス」など医療用医薬品が後発薬に押されて売上高が減少した。稼ぎ頭のリポビタンシリーズの売上高は605億円と、前の期から2.5％減少した。

筋骨たくましい男性が「ファイト１発！」と叫ぶＣＭでおなじみのリポビタンシリーズだが、最近は不振が続いている。発売から50年を超え、栄養ドリンク剤市場首位の座を支える看板商品に変わりはないとはいえ、じわじわと売上高を落としている。

最近ではカフェインなどを含み、栄養ドリンクと似た効果があるエナジードリンクに押され気味。調査会社のアンテリオ（東京・千代田）によると、15年度の国内栄養ドリンク剤市場は1800億円と５年間で１割縮小している。大正製薬ＨＤは昨年からエナジードリンク「ライジン」を発売したが、主要製品には育っていない。

17年３月期の連結売上高は前期比1.8％減の2850億円、営業利益は2.2％増の295億円になる見通し。医療用医薬品の減収が続く。リポビタンシリーズは限定商品の投入で売り上げ減を抑える。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16HC4_W6A510C1000000/