ふるさと納税に潜む闇

ふるさと納税」の人気が沸騰している。2015年度上半期の実績は454億円と、前年同期の3.9倍にも及ぶ。下半期は駆け込み需要があるため、さらに伸びると予想されている。
元来、都市部に住む人が、都市部にいながらふるさとに納税をするという、地方応援のための税制優遇策に過ぎなかったこの制度の人気に火をつけたのは返礼品という「お返し」だ。この2年ほどで「住民税・所得税で税制控除も受けられ、さらに地方の特産品をもらえてお得」というイメージが広まった。
しかしその裏側では、ふるさと納税を獲得するために、地方自治体間で激しい高額返礼品競争が発生。1000万円の寄付に750万円の宅地を贈ろうとする自治体が現れるなど、税制としての本質からかけ離れた実情に、総務省が警告を出すに至った。
現状を放置すれば、地方は活性化するどころか、産業競争力も財政も悪化する危険性がある。都市部の側も、高額納税者ほど得をする上に、自治体の歳入が減少するという公平性に欠く状況が生まれている。地方にふるさと納税が行われると、自治体はその何割かを使って返礼品として指定していた地元産品を地元企業・生産者から買い取る。
当然これは、地方産品の市場取引が拡大しているわけではない。税制を活用した、自治体による買い取りに過ぎない。生産者に売り上げは立つが、納税者はほぼタダだから喜んでいるだけだ。消費者が直接対価を支払わないため、既存顧客に対するブランド価値を棄損することにつながる。従来、補助金を使って、地方産品をタダ同然で配布するイベントをいくら東京で開催しても、地方の産品の流通量は特に拡大しなかった。タダでもらえるものはタダで貰えるもの。対価を支払って欲しいものとは全く異なる。
地方産品を通じて地域活性化を図るのであれば、妥当な価格で営業をし、販売を積み上げなくてはいけない。ふるさと納税で買い上げてもらうのではなく、真っ当な市場取引を通じて商品流通を行わなければならない。
さらにその先には、地元産業がますます自治体依存を深めていくという大きな問題がある。地元企業・生産者は、「ふるさと納税はまとまって商品を買い取ってもらえるおいしいビジネスだ」と盛り上がっている。中には、通常の市場価格よりも高い価格で地元農作物を購入する自治体がある。それが「農業者所得の改善になる」と、とんでもない発言をする農業団体関係者も存在する。これは、税金を使った価格釣り上げによる、一部生産者への不当な贈与とも言える話だ。
また、ふるさと納税の売り上げを優先するあまり、従来の卸先との取引を削減し、返礼品に充てる生産者まで出てきている。正常な取引が減少し、税金による買い取りのほうが優先されるのは決して健全ではない。
しかし、自治体が累計数億円の商品を買い取るふるさと納税“市場”は、地方の中小零細企業・生産者にとっては小さくなく、魅力的に映る。市場競争よりもてっとり早く今期売上を上げられるこの仕組みが横行すれば、市場で苦労して営業する真っ当な生産者ほど馬鹿をみることになる。
納税金額は青天井ではなく、年によって大きく振れる。その増減が地元産業に与える影響を最小限に抑えるためにも、ふるさと納税取引額の変動を一定の範囲に収めるルールを設けるなど、事前の対策がなされる必要がある。
引用元:http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/bizplus/1458551160/
“シャブ漬け”になる地方の生産者と自治体
一方、自治体も“シャブ漬け”のようになっている。そもそも地元から得られる税収が少ない地方の自治体にとって、ふるさと納税による税収増は魅力的だ。通常の税収を超えるふるさと納税金額が集まる自治体さえ出てきており、後に続けと躍起になっている。
しかし問題は、ふるさと納税を獲得した後だ。多くの場合、まずは返礼品に向けた予算を組み立て、さらに残った獲得税収をどう使うか、という話になっている。本来、都市への人口の流出などで減少した歳入を補うために、ふるさと納税が導入されたはずだった。ところが、実際にはふるさと納税による新たな税収を頼りに、問題の先送り、もしくは新たな事業の立ち上げが先行し、財政健全化には程遠い。
そもそも地方財政の問題は「あるものは全て使ってしまう」ことにある。これまで借金してでも毎年予算を使いきっていたから、税収が増加すれば、その分、予算も増加させてしまう。予算増で地方が再生するのなら、過去繰り返し実施された国による交付金・補助金事業で、はるか昔に再生していただろう。地方のマインドが変わらない限り、ふるさと納税は地方財政に歪みをもたらすだけになってしまう。
何より怖いのは、この仕組みが回っているうちは、ふるさと納税をする納税者、受け取る地方自治体、買い取ってもらう地方生産者というふるさと納税に直接的に関係する3者の誰もが損をしない構造になっていることだ。商品購入にお金が回り、地方の財源も増加する。それがさも地方活性化になっているかのように見える。
しかし、これは、一部の地方産品を税金で買い取る一種の「公共事業」に過ぎない。その異常性に気づかないと、地域経済はどんどん自治体買い取りに依存し、自立して正当な対価を得る真っ当な産業が地域から無くなっていってしまう。
過去、地方の農林水産業、商工業でもこの手の支援によって衰退した事例は数多あった。ではいったい、誰が損、つまり負担をしているのだろうか。それは、ふるさと納税をしていない都市部の人だ。例えば、1万円のふるさと納税を行うと、2000円は納税者(寄付者)から、1600円は国の所得税から、6400円は自治体の住民税から捻出されることとなる。国と寄付者が居住する自治体の税収は減少。
さらに、地方へ納税された金額の一部は返礼品で消化されてしまうため、行政サービスに使える国・地方の税収総額は減少していると言える。しかも、ふるさと納税で控除可能な住民税・所得税枠は所得に連動する。高額所得者ほど控除額は大きく、返礼品を沢山もらえる。これは、税の公平性の視点からしても歪んでいる。
実際、高額納税者が多い港区では、ふるさと納税による税収減が5億円を超えると予想されている。これは小学校給食への支出額とほぼ同じで、無視できない金額となっている。一般の納税に「お返し」などない。しかし、お返しが存在するふるさと納税は、納税者にとって「やらなきゃ損」となる制度である。結局、この制度で割を食うのは、「ふるさと納税しない納税者」となるわけだ。
地方にとっても「やらないと他に出し抜かれる」ので参入するしかない。ふるさと納税の構造的問題に当初から気づき、積極参入に反対していた首長も、地元業者・議会からの突き上げ、周辺自治体の実績などからやむなく対応せざるを得なくなってきている。
さらに、納税金額に対する返礼品比率を上げれば上げるほど人気が出て、納税金額が上がるため、誰も返礼品競争から下りることができない、まさにチキンレースと化してきている。
また、暇な公務員に仕事を与えるための制度でもあります。
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ミライに乗れるだけやで
トヨタ市民は乗れんけど
> 豊田市は車が贈られるそうだね。
群馬の大田市ではインプレッサが返礼になる案があったが、廃案になった。
そうなんだよね
携帯の料金みたいって思ってた
黙って自分の自治体におさめてると損するばかり
自分が世話になってる自治体でないとこに納税すると肉だの魚だのもらえる、アホかと
ただ最近ふるさと納税すると、墓を代行で掃除しますってとこが出てきて
それはありがたいから納税しようかなと思ってた
馬鹿馬鹿しい納税をやめさせて、そういう故郷に残してる老親の世話とか墓守とかだけ残してほしい
巧みに「寄付」を、「納税」って言葉に変えて誤魔化したけど
やっぱり制度自体が、根本的に間違ってたから
変な処から矛盾が吹き出してきたんじゃないかな。
>結局、この制度で割を食うのは、「ふるさと納税しない納税者」となるわけだ。
それはそれで構わないんじゃね?
無駄に住まう自治体に市民税を納めるより
形として何かもらえる自治体に収める方が良いもの。
それも、税のサービスの一環だ。
何言ってんだ? しょぼい景品なんかが目的じゃねえだろw
このシステムで面白いのは、やる気のある自治体と、そうでないアナクロ自治体が炙り出されること。
いまどき役所なのにネットも使えず、納金にカードさえ利用させようとしない馬鹿自治体が丸見えだぜw
馬鹿自治体を周辺のやる気自治体に併合させればいい。
自治体によって意識の差がほんとでかいよなあ
やる気がないのと行政のスリム化で運営コストを抑えているのを一緒にしてはいけない。
むしろ大々的に専門部署を立ち上げてコンサル雇ってジャブジャブ予算つぎ込んでる自治体の方がアホ。
この記事でもちゃんと指摘してるだろ
金あれば使い切ってしまってさらに借金するような自治体がやる気ある?
こんなバカげたシステムに乗らずにきちんと集めた金を
市民のために使ってればこんなの使う必要ねーんだよ(大都市とか過疎地かは関係ない)
返礼品で儲かるのは議員や町長と結託した会社。
見返りの謝礼は増えるだろうが税収は増えない。
例えば肉を礼品に出している自治体も肉だけ作っている訳ではない。
畜産業だけ自治体から補助金が出ているようなもので公平性がない。
>>22
俺もそう思う。
従来の売り方じゃ金が回らないから方法を変えるのもあり。
自治体格差なんてどうでもいいよ。
何もやってない所は「従来通り」ってことだよ。
「これだけの納税でこれだけの返礼をいたします!」
頑張ってる自治体にチャンスが増えていいじゃないか。
頑張れ自治体!
安曇野市に住んでて貰えないかったお!
年収300万円だと、他に控除無しで4万円前後が上限だろうなw
実際には社会保険料控除とか生命保険料控除とかある筈だから、
支払った金額の殆どが自己負担になってしまうね。
地方自治体も、やっと少しはそれが分かったということ。
霞が関の担当者に唯々諾々と従った結果、地元が左前になったって、連中が一円たりとも弁償する訳ではないのだ。
ふるさと納税などという名称がおかしいだけ。
制度上、自治体に寄付したら税金から一部控除されるという決まりに過ぎない。
そんなのは世界中、どこでも当たり前にやってる。
それどころか対象が自治体とは限らず、慈善団体や教会など多くの対象で、寄付すれば税金から控除される。
だから米国の著名人などはチャリティーに極めて熱心なのだ。
寄付を徹底的に妨害し、贈与税を取るような日本の既存制度がクソに過ぎるのに、
まるでそれが当然あるべき姿かのようにネジ曲げるから、訳のわからん話になる。
むしろ税金から控除される寄付対象をドンドン拡大すべき。
福祉なんか政府アテにせんでも民間でやれることはやれば良い。
長期客(居住自治体の他の住人)の損失において、MNP乞食(ふるさと納税とやらをする輩)と携帯会社(ふるさと納税を受ける自治体)が利益を分け合っている。
MNP乞食≒ふるさと納税とやらで行政サービスをタダ乗りする害虫
毎月最低でも15万はふるさと納税に
寄付している。
冷蔵庫はお礼のひだ牛や松坂牛びっしり、たまに冷蔵でくるんだが
冷凍でないと食べきれない。のですぐに冷凍庫へ。
和菓子、果物食べ放題だがそれでもアマゾンではいろいろ注文している。
それまでに毎年飯山市のふるさと納税でPC類をもらう。
何でもうまい。いいな山形県民は
そばももちも果物も肉もなんでもうまい。
ホンと何でもうまいなあ。
自分は周りの人にふるさと納税の事、色々話したけどみんな興味なさげだった。それで、うちで頂いたお礼のお品の果物をおすそ分けしたら凄く喜んでたんだけどうちより高額納税者のはずなのにやっぱりふるさと納税はしてないみたい。
それはなMVNOのほうが安いのにしない人間がいるだろ?
ホテルもじゃらんで探したりすれば安かったり航空機も超早割りもある
うちは返礼品がしょぼいけど毎年限度額いっぱいまで納税してる
過疎のど田舎とはいえ俺を育ててくれは村だから……
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コメント
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コメント (16)
特産品なら良いけど群馬でインプレッサ作ってるとか聞いたことないんだが?
※1
太田市はスバルのお膝元だぞ
財政表を見やすいフォーマットにしてedinetみたいに全国の自治体の財政を一括で見れるサイトを作ってほしい
そうすれば安心してどこの自治体に納税すればいいかわかるようになる
今は納税をこういうことに使いましたって報告している所や、これに使ってとリクエストもできる。
もしかしたら地方活性になるかもしれないんだから取り敢えずやってみれば良いとおもう。
独身サラリーマンなんて取られまくるだけだしこういうのやればまだ少しは気休めになると思うけどね。
舛添に金が入るのが嫌だからふるさと納税してるわ
ナマポに渡される税金払うよりはまだふるさと納税をして返礼品貰った方が気分的にいいよ。
そもそもさ、ふるさと納税するってことは本来入るはずの納税額が
住んでる地域や働いてる地域に入らないということ
ゆえに、ふるさと納税するヤツの公共施設利用だとか
なんらかの制限が無いのは、不公平だし問題でもある
どうしても、ふるさと納税したいのなら地元に帰れよ
住んでるだけで社会負担になってるのに
そのうえ本来収めるべき税額さえ収めないのなら
邪魔なだけだ
その自治体が頑張れば他県から税収が貰えるってことじゃね?
都内一極から分散される良いシステムだと思うが。
あるいは、もう田舎者は田舎に強制送還すべきかもなぁ、都内居住の制限とかさ。
>太田市はスバルのお膝元だぞ
ホント馬鹿だよな、前身がそこにあっただけじゃん
富士重工の本社は東京都渋谷区恵比寿にあるぞw
今では全然無縁なのに、しがみつこうとするイナカモノ
えっと、ネタだよね?
本気なら流石に無知を恥じ入るべきだよ
多く税金納めてる人が得して何が悪いんだよ
こいつらも多く税金納めりゃいいだろ底辺共が!!!
知ってる?
ふるさと納税してもらってる地方自治体でも税収減ってるとこあるんだよ
自分の所の住民が他の自治体に寄付してるからwww
ここにあほ制度極まれり!
いまだに>>12のように完全に勘違いしてるのがいるってのが恐ろしい…
>>そもそも地方財政の問題は「あるものは全て使ってしまう」ことにある
こういうのは江戸時代からある悪習になってるから直しようがないだろ。現存維持のシステム上ではふるさと納税は良いと思うよ。するしないは自由だしね
個別自治体の税収とか二の次で、国全体レベルでお金が廻るからいい制度だろ。内部留保とかでも分かるように、お金が滞留していいことない。